グレゴリオ暦/2016.02.26 UP  カテゴリー「特集/ツクヨミをさがして

ツクヨミをさがして④ 
ツクヨミのウケモチ殺しとハイヌウェレ

 さて、このエピソード、実はこれとソックリの話が登場人物を変えて『古事記』にも書かれています。『古事記』のほうで殺されるのはオホゲツヒメ、そして殺すのはツクヨミではなく、スサノオの役回りです。

 イザナギのからだからアマテラス、ツクヨミらと同時に生まれたスサノオは、暴風雨など荒ぶる自然を神格化したと考えられる要素を多くもった神で、その凶暴なキャラは『古事記』にも『日本書紀』にも余すことなく描かれています。

 いわく、スサノオが泣きわめくと地上の山は枯れ、川は干上がって禍(わざわい)がはびこり、図に乗るとやりたい放題にふるまって、アマテラスの耕す田を壊したあげく、神殿には糞を投げつける始末。それだけにとどまらず、ついには神聖な機織り小屋に穴をあけ、馬の皮をはぎとって投げ入れるという、アナーキーきわまりない乱暴狼藉を働き、これに驚いた機織女(はたおりめ)は転げ落ちた拍子に、機織りの尖ったパーツが刺さって死んでしまいます。

 それまで弟のスサノオをかばっていたアマテラスもさすがにショックで、洞窟のなかに姿を隠すことになるのですが、これが有名な「天の岩屋戸」神話です。太陽神がいなくなることで世界は暗闇と禍(わざわい)に包まれます。しかし神々の努力でやがてアマテラスは岩屋戸から再び姿を現し、世界は光を取り戻すことに。そしてとうとうスサノオは神々の住む世界、高天原(たかまがはら)から追放されてしまうのです。

 ここで注目したいのは『古事記』に描かれた、このあとの展開。『日本書紀』が伝えるツクヨミによるウケモチ殺害譚と同じ内容のエピソードが続くのです。

【古事記】

 高天原を追放されたスサノオは出雲へと向かう道中、オホゲツヒメという神に会い、食べ物を求めました。そこでオホゲツヒメは鼻や口や尻からさまざまな食材を出し、これを料理します。しかし、その様子を見ていたスサノオは彼女が食べ物を穢(けが)して差し出そうとしているのだと思い、その場でオホゲツヒメを殺してしまいました。

 殺されたオホゲツヒメの頭からは蚕が生まれ、ふたつの目には稲の種が、ふたつの耳には粟が、鼻には小豆、陰部には麦、尻には大豆が生まれ、これらが五穀の種となりました。

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