グレゴリオ暦/2017.04.18 UP カテゴリー「月の万葉歌」
【 月の万葉歌 朝鮮動乱 〜歌の向こうに見え隠れする不吉な符号〜 編】
熟田津(にきたつ)に 舟(ふな)乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな(巻1-8)
それは日本の歴史上初めてのことだった
斉明天皇は舒明天皇(第34代)の皇后でしたが、舒明がお隠れになったのちにまずは皇極(こうぎょく)天皇(第35代)として即位されました。その後、皇極は政治的な事情(大化の改新)により、日本の歴史上初めてのご譲位を行います。
つまり崩御による代替わりではなく、御代の途中でみずから退かれることで、自分とは母ちがいの弟を孝徳天皇(第36代)として即位させたのです(645年)。
朝鮮半島動乱と天皇のご譲位。現在と状況が重なります。1300年以上のときを隔てた、なにかの符号なのでしょうか。
もっとも今上陛下のご譲位については、瑞祥(ずいしょう)であるにちがいないと確信してはいるのですが、ひょっとしたらひと波乱あってこその、その先に待ち受ける瑞祥なのかもしれません。
なんといってもこの記事を書いている2017年和暦3月22日(G暦4月18日)現在、朝鮮半島の情勢は極度に緊迫した状態が続いており、文字どおり息が詰まりそうなほどですから。
さて、姉上から皇位を継いだ孝徳天皇ですが、即位から10年ほどで崩御。皇位を退かれていた姉・皇極はこの間、「皇祖母尊(すめみおやのみこと)」の尊号を与えられていましたが、これを機に今度は斉明天皇(第37代)として再び皇位につくことになります。退位した天皇が再び即位することを「重祚(ちょうそ)」といいますが、このときの重祚もまた日本の歴史上初めて行われたものでした。ただし実権は皇太子の中大兄皇子が握り、先に書いた白村江の戦いへと向かっていくことになります。