一年が十三か月の年がある
和暦は太陰暦のひとつなので、一年の長さは、
朔望周期二十九・五日×
十二か月=三五四日
となり、太陽暦の一年=三六五日よりも十一日少ない。このため太陰暦では季節に対して毎年十一日ずつこよみが早く進み、月日と季節はどんどんズレていってしまう。このままでは一月一日が夏に訪れるということにもなる。
そこで和暦では十九年に七度の割合で(おおよそ三年に一度)、閏月という余分の一か月を追加して一年の長さを十三か月にすることで、このズレを補正している。
十九太陽年は
月の満ち欠け二三五回分
太陰暦と太陽暦との調和をはかる試みは紀元前よりさまざまに行われてきており、とりわけ二〇〇〇年以上前に発見された、十九年に七度の閏を置くと両者のあいだのズレがきれいに解消されるという方法は、西洋でも東洋でも採用された。
これは太陽暦の十九年分と二三五朔望月の日数がほぼ一致するという計算にもとづいている。
1太陽年 365.24219日×19=6939.602日
月の満ち欠け235回分=
1朔望月 29.530589日×235=6939.688日
235朔望月=12朔望月×19年+7朔望月
右のとおり、二三五朔望月は太陰暦の十九年+七朔望月なので、十九年に七度、十三か月ある年をつくれば、年間十一日ずつの太陽暦との差はほぼ解消できるわけだ。この周期を「メトン周期(前四三三年にギリシアの数学者・天文学者メトンがとなえた)」、シナでは「章(しょう)」というが、東西で同時期に発見されたものなのか、どちらか一方から伝わったものなのかはわかっていない。
直近の例では令和二年四月と五月のあいだに閏四月(うるうしがつ)が挿入された(挿入位置は一定のルールにもとづかれ、年により異なる)。