月と地球と太陽の並び方
月の満ち欠けは、太陽と月と地球の並び方によって起こる。新月を地上から見ることができないのは、月が地球から見て太陽と同じ方向にあるからだ。月は太陽の光を受けて陰になっている側を地球に向けているため、私たちはその姿を見ることはできない。
一方、月が地球をはさんで太陽とは真反対の側にあると、月は太陽の光を受けている側をまるまる地球に向けることになり、地上ではまん丸い満月として見える。
また太陽と地球を結ぶ直線に対して90度の角度となるような位置に月があれば、地上では太陽の光を半面に受けたかっこうの月、上弦、下弦となる。
ということは毎日の日付と月の形が連動している和暦では、日付が太陽と月と地球の、そのときどきの位置関係を映し出しているともいえる。たとえば八日なら満ち欠けは上弦、すなわち太陽と月と地球が直角をなすような形で並んでいると理解できるだろう。
あるいは一日(ついたち)の朔なら太陽―月―地球の順で、また十五日の望なら太陽―地球―月の順で、ともに一直線上に並んでいることもわかる。
つまり和暦の日付には太陽と月と地球がおりなす、リアルタイムの幾何学的な位置情報が含まれているというわけだ。
このように宇宙や大自然のいとなみをそのまま映し出したこよみを、私たち日本人は一三〇〇年以上にわたって使ってきた。日本の文化や日本人特有の思考、価値観の背景に、そうした事実が横たわっているということを、いま改めて認識しておきたい。