和暦を知る

和暦1月15日
小正月

◆原日本人の古層の記憶が小正月に残る

 原日本人の古い正月行事を想像させるこうした儀礼が、小正月という満月のタイミングに集中している点はとても興味深いです。月の満ち欠けそのものをこよみとしていた時代には、空から見えなくなる新月よりも真ん丸に輝く満月こそが節目のタイミングとしてはわかりやすく、そのため一か月のはじまりも望の日からだったと考えられるからです。このことから「こよみ」が成立する以前の正月もまた1月望のころであり、小正月というのは原日本人が迎えていた本来の正月の名残であるとも思われます。

 小正月の行事として全国で広く見られるものとしては、ほかにも「左義長(さぎちょう)」「どんど焼き」があります。名称はやはり地域で異なりますが、いずれも野外で竹や木を三脚状に大きく組んで大火を焼く火祭りであり、正月の家々を飾った松飾りや注連飾りが持ち込まれ、ここで焼かれます。

 こうした小正月の行事に総じていえるのは、年神を迎える物忌み(神迎えの準備として一定の飲食を禁止したり、日常を避けてどこかに籠ったりすることで、不浄を忌避し、心身の清浄をこころがける行い)としての側面が強い大正月と比べ、農耕にかかわる予祝儀礼が非常に多く、木や火への信仰など、より呪術的、アニミズム的な印象が強いことでしょうか。原日本人の古層の記憶は、小正月行事にこそ深く刻まれているのかもしれません。


参考文献/『日本まつりと年中行事事典』倉林正次編 1983(桜楓社)/『年中行事大辞典』加藤友康・高杢利彦・長沢利明・山田邦明編 2009(吉川弘文館)/『歳時習俗語彙』柳田国男著 1939(民間伝承の会)/『年中行事覚書書』柳田国男著 2009(講談社)/『定本柳田國男全集 第十三巻(新装版)』柳田国男著 1969(筑摩書房)


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