グレゴリオ暦/2014年11月5日 カテゴリー「死 , 音楽」
ジョン・ホルトとウィルコ・ジョンソン
先日、interFMのラジオ番組「バラカン・ビート」を聴いていて、ポップミュージック界のレジェンドといえるふたりのアーティストの「死」に関する、かなりびっくりなニュースを知りました。クルマのなかで聴いていて、思わず「え? まじ!?」とひとりつぶやいてしまいましたね。
ひとりめのニュースの主役はJohn Holt。ジャマイカのミュージックシーンにその名を深く刻む、レゲエの最重要シンガーのひとりである彼が、なんと亡くなっていたんです……! G暦10/19のことだそう。
ジョン・ホルトは60年代に結成されたロックステディのヴォーカルグループ、The Paragonsのリードシンガー。パラゴンズはほかにTyrone EvansやBob Andyといった、のちにソロでもヒットを飛ばしまくる、やはりレジェンドといえるヴォーカリストが在籍していたことでも知られる、ジャマイカの至宝のようなグループです。
数ある名曲のなかでも最も有名な楽曲は80年代にBlondieがカバーして世界中で大ヒットとなった”Tide is high(放題「夢見るナンバー1」)”。この曲のソングライターがジョン・ホルトでした。
90年代のダンスホール時代に入ってからは彼の71年のソロヒット”A love I can feel”トラックが大流行しましたね。ジャマイカのミュージックシーンのビジネスモデルは少し特殊で、楽曲はもとより「リディム」あるいは「ヴァージョン」とよばれるヴォーカル抜きのリズムトラック(要はカラオケ)自体が流行り、いくつも複製されたそのトラックの上にトースティングや歌が乗っかって流通したりするわけなんですが、”A love I can feel”トラックはジャマイカ国外でも広く流用されていましたよね。
なかでも出色は現Fat boy slimのNorman Cookが当時組んでいたユニットBeats International時代に12インチでリリースした逸品。”A love I can feel”トラックに載せてMadonnaの大ヒットバラード曲”Crazy for you”をカバーしたものです(アルバム未収録)。超カワイイんですよ、これが。大好きでしたね。いまでも聴きたくなるんですけど、所有しているはずの12インチアナログがどこを探しても見つからず、それとは別に2枚所有している12センチの同シングルCDが、品質の問題なのか、再生すると現在の我が家のプレイヤーおよびPCではノイズだらけになってしまうんです。悲しすぎます……。ところでジョン・ホルトにはちゃんと印税支払われたんでしょうかね。
ジョン・ホルトは若いころは短髪で、ラスタマンのイメージはありませんが、近年の画像を見ると髪がドレッドになっていますね。いつのまにJahに開眼したんでしょうか。晩年のポール牧が出家スタイルで活動していたのと似ています。いずれにしてもご冥福をお祈りします。
そしてニュースのもうひとりの主役はギタリストのWilko Johnsonです。とりわけPunkやUKのRockを通過しているひとなら「知らない」なんてことがあってはけっしてならない正真正銘のロックレジェンドです。
ウィルコは2013年G暦1月に末期のすい臓がんと診断され、あと半年程度しか生きられないことを公表したうえで、それまで同様、音楽活動を続けてきました。来日もしてますよね、この間に。化学治療を拒否した彼はしかし、診断から1年以上を経ても命尽きることなくRockし続け、世界中のRockファンにパワーを送り続けていました。
そして、このほど、とうとう……。
そうです、ウィルコはがんの摘出手術を受け、なんとなんと驚異の完全回復を遂げたんです!! 素晴らしい!! ぶったまげです! 摘出された腫瘍は3キロほどもあったらしいですね。
そういうわけで、これで暴力的なまでにエッジの効きまくったウィルコのギターがまだまだ聴けることが決定。すげえぜ、ウィルコ!