グレゴリオ暦/2013年3月12日 カテゴリー「東日本大震災 , 科学」
宇宙にまで届いていた大地震の音
昨日に引き続いての東日本大震災ネタなんですが、AFPが大変興味深いニュースを配信していたのでチェック。なんと、あの大地震の音は宇宙にまで届いていたというのです。
AFPによると、「地球観測衛星『GOCE』が、巨大地震で地殻が大きくずれたことによって発生した『超低周波音』を捉えていたという。科学者らによると、巨大地震は地球の内部を伝わる地震波を生むだけでなく、太鼓をたたくように地表をも振動させる。GOCEはこの振動によって発生し大気の中を伝わっていく音波を観測・記録することが可能で、今回、周回軌道上で地震計のような役割を果たした」(2013年03月11日AFP配信から)。
GOCEというのはESA(欧州宇宙機関)が2009年に打ち上げた人工衛星。地表から260キロの上空を周回しています。衛星軌道としては低高度の部類ですね。やはり低高度で知られるスペースシャトルよりも下を飛んでいるような状態でしょう。イメージとしてはミカンを地球としたら、その表面を覆う皮ぐらいの高度です。
今回、GOCEが東日本大震災による超低周波音の波面を観測したのは2度。最初は地震発生の30分後に太平洋沖の上空を通過中、次はさらに25分後の欧州上空通過中でした。同じくこのニュースを掲載したBBCによると、「GOCEは従来のシステムよりも100倍以上優れた高感度センサーをそなえている」そうで、得られた収穫はこのセンサーと低高度観測によってもたらされたといえます。音は宇宙のような真空中では伝わりませんからね。
一方、AFPでは日本の気象庁にも取材しており、同庁のコメントとして「地震観測に衛星を使うのは異例だとしつつ、衛星が地震研究を大きく前進させる技術となる可能性に期待を示した」と結んでいます。
以前から報告されていた、大震災発生前には地球を取り巻く電離層に大きな変化が起こっていたという観測結果などとあわせ、地震予知の技術が進めば犠牲者の数も劇的に減らすことができるでしょう。