• ●読み方● 和暦=旧暦/月の出入=東京で月の中心が地平線に重なる時刻/(二)=二十四節気/(雑)=雑節/(節)
    =節句/(年)=年中行事/G暦=グレゴリオ暦 (新暦)/データ出典…暦要綱・暦計算室(国立天文台)/※月満ち欠け図は目安です。免責事項
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  • グレゴリオ暦/2013.11.22 UP  カテゴリー「月の万葉歌

    【 月の万葉歌 】
    さ夜ふけば 出で来む月を 高山の 峰の白雲 隠すらむかも

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    日本最古の和歌集『万葉集』収録の、月を詠みこんだ歌を紹介しています(このコーナーに関する”能書き”はこちらをご覧くださいませませ)。

    ※『万葉集』収録の各歌には通し番号が振られて整理されています。歌の最後に記した数字がそれで、たとえば(3巻178)とあったら「万葉集 巻第3 178番」の歌という意味になります。


     『万葉集』が編纂された当時はまだ季語というルールがなかったため、季節がはっきりとわかる歌ばかりとは限りません。とりわけ月を詠みこんだ歌の中で「冬」であることが明示されているような歌は少ない気がします(実際にかぞえて比較したわけではありませんが)。

     さて、今回ご紹介するのは、そんな数少ない月の冬歌のひとつ。


      月を詠む
      さ夜(よ)ふけば 出で来む月を 高山の
                  峰の白雲 隠すらむかも

                                  (10巻2332)

     冬の空に浮かぶ月の情景を詠んだ、とてもシンプルな歌です。

     「さ夜(よ)ふけば 出で来む月」は、夜が更けてきたころに出てくる月という意味で、いわゆる「更待月(ふけまちづき)」のことです。

     月の出は毎日約50分ずつ遅れていくため、旧暦の時代には、月に、日々変わっていく出の時間をあらわした愛称を与えていました。

     たとえば旧暦16日の月は日没後少ししてから「いざよう(ためらう)」ように昇ってくることから「十六夜月(いざよいづき)」、旧暦17日の月は夕方のそれほど遅くない時間に立って待っているうちに月が昇ってくることから「立待月(たちまちづき)」といったりするわけです(くわしくはこちら)。「更待月」は夜が更けたころに月の出を迎える旧暦20日ごろの月ということになります。

     この歌は『万葉集』第10巻の「冬の雑歌(ぞうか)」のくくりに掲載されています。つまり詠み人が出を待ち望んでいるのは冬の二十日月。訳としては「夜が更けたら昇ってくるはずの月を、高山の峰の白雲が隠しているのだろうか」となり、ひんやりした空気感が伝わってきます。

     『日本古典全集 萬葉集』(小学館)では、「あるいは恋人の訪れが遅いのは思わぬ障害があったためではないか」と詠み人が心配している様が、歌の背景に詠みこまれているかもしれないと解説しています。

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