• ●読み方● 和暦=旧暦/月の出入=東京で月の中心が地平線に重なる時刻/(二)=二十四節気/(雑)=雑節/(節)
    =節句/(年)=年中行事/G暦=グレゴリオ暦 (新暦)/データ出典…暦要綱・暦計算室(国立天文台)/※月満ち欠け図は目安です。免責事項
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    和暦手帳tsukinokoyomi

    【和暦と日本人】

    宇宙的いとなみを識り、循環に触れる
    八百万神のおわす列島のこよみが秘めた力

     ことあるごとに月を見上げ、自然のうつろいのなかに「とき」をみた日本人が1300年以上使ってきた和暦。和暦は日本の伝統文化です(明治5年、1872年まで使われていた)。

     月の満ち欠けに根差した和暦がつむぐ「とき」は、まさしく月の満ち欠けそのもの。和暦は宇宙のリズム、自然のサイクルにあわせて日々を過ごすことのできる大変すぐれたこよみです。自然のリズム、サイクルとかけ離れた新暦(グレゴリオ暦)では完全に不可能な所産で、この点にこそ和暦の最大の魅力があります。

    長い歴史のなかで進化、江戸期には国中に幅広く普及

     月の満ち欠けで日をかぞえた原初的な自然暦にはじまる日本のこよみは、6世紀ごろに百済から輸入した暦法(=こよみをつくるための計算理論。古代中国で発達した)の導入以降、国内で幾度ものバージョンアップを経て完成度を高めていき、江戸時代後期には日本ならではの識字率の驚異的な高さと知的に洗練された成熟した文化を背景に、庶民のあいだにも幅広く普及していきます。

     これは世界的にも例のないことで、当時、グラフィカルにデザインされた実にさまざまなタイプのこよみが出版されていた事実からは、日本人の際立ったこよみ好き加減がうかがえます。

    ツクヨミは”つきのこよみ”として「とき」をつかさどる

     和暦とは、男女の差なく好んで月を愛で、自然を愛した、日本人の心性をはぐくんだ文化そのものです。

     森羅万象に神が宿ると考え、「とき」にさえ神をみた日本人は、新年の訪れを年神(としがみ)の来訪とみなし、「古事記」「日本書紀」の創世神話にも、アマテラス、スサノオと同時にイザナギから生まれた三貴子の一柱として「月読(ツクヨミ)」を登場させました。

     アマテラスを太陽とするならばツクヨミは月そのものの神格化といえますが、「読む」が「数える」を意味する古語であることから、かつての日本人は「月」という語のなかには“月の満ち欠けを数える”という行為自体も内包されているとみなしていたと考えられ、その日の空に浮かぶ月の姿がイコール”つきのこよみ”であったことが推察できます。

     さらに神であるからには、ツクヨミとは単に「とき」を計測する道具というよりも、死と再生を繰り返すかのごとく満ちては欠けを繰り返す月の姿に見出される、「永遠」という神的属性につらなる概念としての「とき」をつかさどる存在であり、だからこその人智を超えた力や、生命エネルギーの源泉といったイメージが、「ツクヨミ」には込められていたのではないでしょうか。

    和暦のなかに私たちが無意識的に確信する日本人の原点

     だとすれば「新年の訪れ」を「神の訪れ」と同一視する心性からは、月とは「とき」や生命をつかさどる大いなる存在であり、それゆえ一度死んで再び生まれたばかりの真新しい月の訪れによってひとびとの生命もまたある種の新しい永遠性を与えられ、生命力が更新される(そしてそれによって長寿や豊饒、繁栄がもたらされる)と考えた原日本人のアニミズム的価値観を、はっきりとみてとれます。和暦では新年は必ず新月とともに明けるからです。

     形あるものから目に見えないものまで、周囲のありとあらゆるすべての存在に神が宿るとみなして共生していた、これこそ日本人の原点です。

     私たちが和暦のなかに、どこか懐かしい新しさやホッとできる安心感、あるいは自然に対する畏怖、その向こう側にあるかもしれない超越的で形而上的な存在といったものを感じるのは、当の私たち自身が現代的(またはグローバリズム的)な価値観に決定的な違和感を覚えているからであり、失われつつある旧来の日本文化のなかにこそ私たちの本来あるべき姿があることを無意識的に確信するからではないでしょうか。

    『つきのこよみ』は太古からのいとなみと結ぶ“へその緒”

     それこそが八百万神のおわす列島(くに)で育まれてきたこよみ、和暦に秘められた力。

     和暦をとおして私たちは日々形を変えてゆく月の満ち欠けを知ります。宇宙に浮かぶ星たちのいとなみに気づきます。潮の満ち引きなど、月の満ち欠けに連動した自然のサイクルに触れます。そんな循環リズムのなかで、少しずつ変化していく季節のうつろいにこころを動かします。あなたのからだやこころのなかにも、そうしたリズム、サイクルが眠っているはずです。

     それらはすべて地球の鼓動、循環し続ける地球の呼吸でもあります。

     和暦をとおして私たちは地球にアクセスします。数千年、数万年におよぶ悠久の「とき」との回路を開きます。同じ月をみていた太古の日本人 ―― 文明のはるか以前、この島に暮らしていた私たちのルーツたる彼らのこころと、シンクロします。

     和暦とはいわば、太古よりつむがれる長大な地球の歴史、宇宙のいとなみのなかから生まれてきた私たちと、私たち自身のなかに眠っている宇宙のいとなみとを結ぶ“へその緒”。

     和暦手帳『つきのこよみ』は、そんな魔術的な力を秘めた和暦をいつでも身近に置いておける手帳です。