• ●読み方● 和暦=旧暦/月の出入=東京で月の中心が地平線に重なる時刻/(二)=二十四節気/(雑)=雑節/(節)
    =節句/(年)=年中行事/G暦=グレゴリオ暦 (新暦)/データ出典…暦要綱・暦計算室(国立天文台)/※月満ち欠け図は目安です。免責事項
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    和暦1月15日
    小正月


    呪術的な行事が多く、原日本人の本来の正月か

    ◆二番正月、望(もち)の正月

     新年最初の朔(新月)である和暦1月1日から7日までを「大正月(おおしょうがつ)」とよぶのに対し、1月15日の新年最初の望(満月)の日を中心にしたもうひとつの正月を「小正月(こしょうがつ)」といいます。

     小正月は地域によって1月14日の晩から16日までの場合や、1月15日だけの場合などバリエーションがあるほか、「二番正月」「望(もち)の正月」などよぶこともあり、以下に紹介する風習も土地によって大きく異なります。


    ◆若木(わかぎ)を使った呪術的な行事

     昔は冬の暖は薪を燃やしてとっていましたが、新年の燃料として用意した薪を「年木(としぎ)」といい、暮れのうちに山へとりにいき、大正月には年神の依代(よりしろ)となる門松のそばなどに供えました。年が明けて新年最初(1月2日や3日など)に山へ入ることは「初山(はつやま)入り」「初山踏(ういやまぶ)み」「若木(わかぎ)迎え」などといって、小正月用の年木「若木(わかぎ)」「新木(にゅうぎ)」をとります。木は松よりも、ヌルデ(勝の木)やミズキ、ヤナギ、クルミ、エノキなどが用いられました。

     この若木が小正月の行事に使われる例が全国で広く見られます。

     たとえば若木に12本の線や「十二月」の文字を描いて飾る、枝の先に蚕(かいこ)の繭(まゆ)のような形に丸めたモチやダンゴをつけて豊作を願う「繭玉(まゆだま)」にする、粥を煮る祝い箸にする、年占(としうら)を行う、あるいはユニークなところでは、田畑を食べあらす鳥を追う真似を子供たちが歌いながら行う豊作祈願「鳥追い」に使う、子宝に恵まれるよう新嫁の尻をたたくなど、その多くは現在ではあまり見ることもなくなりましたが、若木信仰といえる呪術はさまざまな形で行われていました。大正月の松飾りがそうであったように、若木もまた神の依代(よりしろ)だったのでしょう。


    ◆豊穣を祈願する予祝(よしゅく)儀礼

     こうした行事は一般に「予祝(よしゅく)儀礼」とよばれ、その年の豊作を祈って前祝い的に行われます。農作業のしぐさを模擬的に行ったり、田畑を荒らす動物や虫を追うしぐさを真似たりするほか、繭玉のように”木がつけた実り”を疑似的に表現するなど、現代的な感覚からすると少々奇妙な印象を与えるものの、歴史の古層を思わせるアニミズム的な呪術が多く、さまざまな形で日本中に残っています。


    ◆福をもたらす異形の訪問者
    柳田国男によると、小正月の訪問者には左のほかにも、ゼニナワイワイ、カセダウチ(ともに鹿児島)、カサトリマワシ(福島)、ケッコロ、ナゴミタクリ(ともに岩手)、ハタケサンダン(岡山)、カマモリ(奄美)など、刺激的な名称のものが実に数多く報告されています。

     仮装した異形の訪問者が小正月に各家庭を訪れる風習も各地で見られました。なかでも最も有名で、現在も絶えることなく続いているのが秋田の「ナマハゲ」です。

     ほかにもカバカバ(青森)、カセドリ(福島・熊本)、ホトホト(山陰)、コトコト、ゴリゴリ(ともに岡山)、オイワイソ=御祝いそ(徳島)、トヒトヒ、トヘトヘ、トロヘイ(山口)、トヨトヨ(福岡)、バタバタ(東京)など、あげればキリがないほど、同じような訪問者儀礼がかつての日本では各地で行われていました。いずれも福をもたらす「年神の来訪」を模した予祝儀礼といえます。