04. グレゴリオ暦
◇16世紀にローマ教皇が制定
私たちが普段使っているカレンダーは正確には「グレゴリオ暦」といいます。
グレゴリオ暦は1582年にローマ教皇グレゴリウス13世によって、それまで約1600年間使用されていたユリウス暦を改暦して制定されました。以来、事実上のワールドスタンダードとして現在も世界中で使用され続けています。日本では「新暦」とも呼ばれます。和暦が陰暦(正確には太陰太陽暦)なのに対し、こちらは太陽暦です。
陰暦や太陰太陽暦が “地球から見た月の動き=月の満ち欠けひと巡り” を基本単位とするのに対し、太陽暦は “地球から見た太陽の動き=季節ひと巡り” が基本。したがって1年の長さは約365日となります。これはみなさんもご存じのとおりです。
◇ユリウス暦では復活祭(イースター)がズレていった
しかしそんなに長く使われてきた実績のあるユリウス暦をグレゴリウス13世はどうして改暦したのでしょうか。それはカトリックの最も重要な行事、復活祭(イースター)が正確な時期に行えなくなっていたから。教会にとって、これは憂慮すべき事態でした。
現在、1年の長さは365.24219日(平均太陽年)と『理科年表』には定義されています。ところがユリウス暦では「こよみ」上の1年の長さを365.25日と計算していました。0.03日程度の小さな誤差なんですけれど、さすがに1600年分ともなるとその差は大きく育ち、「こよみ」上の春分と天文学的な春分が10日もズレるほどにまでなってしまいました。このまま放っておけば「春分後の最初の満月の次の日曜」に行うイースターの日どりを定めるうえで、今後さらに大きな支障となっていくことは確実です。
◇天文学的な誤差を大幅に縮めてユリウス暦から改暦
そこで教会のもとに天文学者や数学者が集められ、ユリウス暦の “キッカリ4年に一度、1日加える” という>(うるう)の入れ方を少し変えた、新しい「こよみ」が完成します。それは”400年に97回” の割り合いで閏を入れることで「こよみ」上の1年の長さを365.2425日(誤差0.004日)とし、天文学的な1年との誤差を大幅に縮めたものでした。これがグレゴリオ暦です(こちらの囲みも参照)。
◇植民地支配とともに非キリスト教圏へ
グレゴリオ暦は植民地支配によるキリスト教カトリック文化の広まりとともに、現在では非キリスト教圏も含めた世界中で使われるようになりましたが、いまでもこれがカトリック用の宗教暦であることにはかわりありません。また和暦と異なり規則性がない、あるいは日付に意味がない、1月1日に「なぜこの日が1年のスタートなのか」根拠がない、といった不具合も指摘されています。