• ●読み方● 和暦=旧暦/月の出入=東京で月の中心が地平線に重なる時刻/(二)=二十四節気/(雑)=雑節/(節)
    =節句/(年)=年中行事/G暦=グレゴリオ暦 (新暦)/データ出典…暦要綱・暦計算室(国立天文台)/※月満ち欠け図は目安です。免責事項
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    04. 五節供(ごせっく)


    中国伝来と日本古来が結びついた節日(せちび)

    ◇供え物をして祝う節目、折り目の日

     日本に古くから伝わる伝統行事の中でも、桃の節供や端午の節供、七夕などはいまも存在しており、知らないひとはいません。とりわけ端午の節供などは「こどもの日」と名を変え、国民の祝日にもなっています。

     これらは「節供(せっく。「節句」とも)」とよばれ、かつては数ある年中行事の中でも特別扱いされ、宮中から武家、農村まで、同じ日にちで行事が行われていました(下表参照)。

     節供の「節(せつ・せち)」は節目(ふしめ)の「節(ふし)」でもあり、文字どおり節目、折り目の日とされ、祝い日として仕事を休みました。家々では神をまつって食事を供え、神とともに家族もそろって食事にあずかります。もともと節供は、節の日すなわち節日(せちび/せちにち)の供え物の意味でしたが、のちに神をまつる節日そのものをさすようになったようです。こうした節日は集落や地域ごとにさまざまありましたが、江戸時代のはじめに以下の5つが「五節句(ごせっく)」として、こよみに定められました。

               1月7日 人日(じんじつ)
               3月3日 上巳(じょうし)
               5月5日 端午(たんご)
               7月7日 七夕(しちせき)
               9月9日 重陽(ちょうよう)

    ◇ゾロ目の日付は古代中国の哲学、陰陽五行の影響

     節供の月日が人日以外、いずれも和暦のゾロ目になる月日が設定されているのは、中国の重日(じゅうにち)という考え方が根底にあるため。古代中国大陸の哲学である陰陽五行思想では奇数を陽、偶数を陰としますが、とりわけ陽数が重なる月日は陽×陽=陰とする発想からなかんずく忌まれ、神に供物をそなえて邪気を払う祭祀を行っていました。これがやがて転じて、邪を払ってお祝いする式日となっていったようです。

     ちなみに陰陽五行説の五行というのは、万物は木(もく)・火(か)・土(ど)・金(ごん)・水(すい)の5つの要素で成り立っているとする考え方で、森羅万象はこの5要素のいずれかに必ず還元されます。節供も5つあるのは偶然ではなく、当然五行にもとづいており、おのおの木火土金水のいずれかに配当されます。

    陰陽五行は森羅万象を読み解くための古代中国大陸の哲学であり、高度なロジックで構築されています。たとえば四季も五行に配当され、<春>は木、<夏>は火、<秋>は金、<冬>は水、そして各季節と季節のあいだをつなぐのが土となります。すなわち四季は<春>→土→<夏>→土→<秋>→土→<冬>→土→<春>→土……とめぐっていくわけです。雑節の土用は五行の土であり、だから各季節の終わりに置かれているのです。また色も五行に配当され、木は青、火は赤、土は黄、金は白、水は黒となります。

    五節供や、ここにあげた季節や色の配当のみならず、陰陽五行は奈良時代以降、宮中の祭祀(さいし)から祭の原理、民間信仰の吉凶判断まで、日本に古くから伝わるあらゆる風習に根を下ろしています。日本文化を解くカギといえ、注目しておく価値はあるでしょう。