15. 月のレゴリス
レゴリスの厚さは月の地形の中でも比較的歴史の古い、約40億年からあるような高地で最大30メートル、クレーターなど新しめの地形で2~3センチ。粒子の大きさは1ミリ以下の小さなサイズが多いといいます。
前ページの写真は人類最初の偉大なる一歩を月に刻んだアポロ11号による月面探査時のものですが、宇宙服を着て歩く飛行士の足元がレゴリスに埋もれているのがわかります。
◇月面探査の際に現地で調達できる資源としても注目
アポロ計画においてレゴリスの細かさや柔らかさは大変厄介な問題でした。月面着陸時にはあたり一面に舞い上がって視界を奪い、探査中には機器のすき間や宇宙服の可動部などに入りこんで、しばしば不具合を生じさせました。
月という特殊な環境のおかげで粒子表面が磨耗しておらず、レゴリスにはギザギザだったりトゲ状だったり鋭利な形状のものも多く、一度入り込んだり、付着したりするとなかなか落ちにくいようです。
このほか吸入すると健康被害を受ける可能性もあります。ある飛行士はエアロック内で宇宙服を脱ぐ際、レゴリスに火薬のようなにおいを感じたといい、誤って吸入してしまった別の飛行士は花粉症のような症状を発症したといいます。
しかし一方で、レゴリスは月面基地や施設の材料として期待されているほか、熱反応で酸素と水も取り出すことができることから、将来の月面探査において現地調達できる資源としても注目されています。