• ●読み方● 和暦=旧暦/月の出入=東京で月の中心が地平線に重なる時刻/(二)=二十四節気/(雑)=雑節/(節)
    =節句/(年)=年中行事/G暦=グレゴリオ暦 (新暦)/データ出典…暦要綱・暦計算室(国立天文台)/※月満ち欠け図は目安です。免責事項
  • 目 次

  • 月の基礎知識

    12. 分点月と歳差運動


    春分点は2万5800年周期で移動する

    ◇黄道と天の赤道と春分点

     夜空に浮かぶ星の位置を示すための座標にはいくつかありますが、中でも天球上に描かれる太陽の通り道「黄道(こうどう/おうどう)を基準にしたものが黄道座標です。

     地球の赤道を天球に拡大したものを「天の赤道」といい、天の赤道と黄道との交点ふたつのうち、黄道上を移動する太陽が、天の赤道に対して南から北側に向けて昇っていく側の点「昇交点」ともいう)を起点=0度とした角度であらわされます。この起点は「春分点」とよばれ、太陽が春分点を通過する瞬間がいわゆる春分。この日、太陽は真東から昇り、真西に沈みます。

    黄道座標

     図のとおり縦軸を黄緯(こうい)、横軸を黄経(こうけい)とよび、黄緯は黄道北極となる点が+90度、黄道南極となる点が-90度の角度に、黄径は春分点0度から1周した360度までとなります。ちなみに四季をそれぞれさらに6分割した季節の指標、二十四節気は黄径360°を24等分した15°ずつのポイントに割りふられています(参照:二十四節気


    ◇回転するコマのように
    地球も首ふり運動をしている

     一方、月が黄経0度、すなわち春分点を出発して白道をひとまわりしたのちに再び春分点を通過するまでの周期は「分点月」とよばれます。要は白道1周分のサイクルですから公転周期と同じなのではと思うかもしれませんが、分点月の周期は27.321582日と、公転周期27.321682日より0.00008日(6.912秒)短くなります。

    歳差運動

     その原因は地球の「歳差運動」。23.4度傾いた地球の地軸には、太陽(や月やほかの惑星)からの潮汐力の影響で、それを縦に起こそうとする力が絶えず働いており、その結果、地球は回転するコマの首ふり運動のような動きをしながら公転しているのです。

     歳差といわれるこの運動の周期はとても長大で、ひと巡りが約2万5800年。これにより北極星は現在のこぐま座αから西暦4000年ごろにはケフェウス座γ、同1万年ごろには白鳥座デネブ、同1万4000年ごろにはこと座ベガへと変わっていきます。

     天の北極に輝く星が変化するように、春分点もまた歳差により、黄道上を角度にして毎年約0.014度(50秒角)ほどの速度で公転とは逆方向に移動していくため、分点月は公転周期よりわずかに短くなっているわけです。


    ◇歳差は考古学にも応用されている

     なお、地球の歳差運動は時代によって地上から見える星空が変化することを意味していることから、古代に残された天文記録を検証して数千年前の歴史的事実をあきらかにしていく天文考古学という学問にも応用されています。

     エジプトのギザ3大ピラミッドが実はオリオンの3つ星を地上に再現したものであったという真実も、歳差を考慮に入れることで発見されました。