• ●読み方● 和暦=旧暦/月の出入=東京で月の中心が地平線に重なる時刻/(二)=二十四節気/(雑)=雑節/(節)
    =節句/(年)=年中行事/G暦=グレゴリオ暦 (新暦)/データ出典…暦要綱・暦計算室(国立天文台)/※月満ち欠け図は目安です。免責事項
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    グレゴリオ暦/2014年1月6日  カテゴリー「アート

    ジョセフ・クーデルカ フレームの向こう側

    旧暦12月6日 記

     koudelka

     真に優れた写真はそこに写っていないもの、すなわちフレームの外にあるものをフレームの内に映しだします。ジョセフ・クーデルカの写真を見ていると、そんな真理を確信できます。

     チェコの写真家、ジョセフ・クーデルカの回顧展に行ってきました。といっても実際に行ったのはいまからちょっと前で、12月のこと。でもまだやってますよ。東京国立近代美術館で今度の連休までみたいです。

    koudelka2

     クーデルカの作品はファッションや広告などの商業写真ではないのですが、きわめて洗練されており、デザイン的です。デザインというのは感覚よりもむしろ工程の大部分に思考が介在しますから、彼の作品にも数学的、幾何学的ロジカルさを見てとれます。私のメチャクチャ好きなタイプです。

     たとえばクーデルカは構図の中に直線を多用します。フレームを直線的に分割してレイアウトするというのではなく、実際に直線を入れ込むのです。地平線やら水平線やら、背景の街並みや自然の中にあらわれるラインを画面上に取り込んで、その上に主題をレイヤーするというか。多くの場合、そのラインは画面の右端から左端まで一気に貫かれます。

     これがクーデルカ独特のリズムというか、シャープな力強さを作品に与えている気がするんですよ。

     いや、彼のインタビューや増田玲氏の解説を読んでも、そうした具体的な方法論についてはまったく触れられていないので本当のところはわからないですよ。だけど、あきらかにこれは意識的に行われていると思われます。

     68年の「プラハの春」における祖国へのワルシャワ条約機構軍の軍事侵攻を撮った、彼の長いキャリアにおける唯一のドキュメント作品群においても――おそらくこのときはそれこそ死を覚悟して夢中でシャッターを押しまくっていたのでしょうが――こんなときにおいてさえ彼の構図に対する美意識は貫かれており、やはり主題の背景にラインが多くあらわれます。

     写真家になる前は航空技師をしていたらしいですから、そうした理科系の視点もクーデルカの作品づくりに反映されているのでしょう。

     写真は瞬間をとらえるテクノロジーですが、クーデルカの写真に見られるラインは時間軸なのかもしれません。だからこそ、彼の写真には本来その瞬間の前後にあるはずのヒストリーまでもがそこに映しだされ、フレームの外にある真実を見る者に感じさせるのではないでしょうか。

     ちなみにクーデルカの写真はすべてモノクロです。すっかり影響されちゃった自分は近頃、デジカメなのにわざわざパラメーターをモノクロに設定して、ラインを意識して写真を撮ってみてます。私の超ウルトラヘタレ写真も、どことなくアーティに見えるから不思議です。

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